6月22日、高知県個人情報保護制度委員会が高知城ホールで開催され、「学校・警察連絡制度」にかかる「学校から警察」への個人情報の提供が条件付きで承認されました。
今回で4回目の審議。継続審議とされた「学校から警察」へ情報提供できる事案「家出、行方不明事案」「不良交友事案」の2点について、県教委は要綱(案)・運用ガイドライン(案)を提示して、説明を行いました。
討議では、運用ガイドラインに質問が集中し、傍聴席の教育次長が補足説明や修正する旨の発言する場面も。結論を出すにあたり、事務局(文書情報課)から答申案が示されました。
答申案は、「留意事項を示した上で、個人情報の保護に万全を期することを条件として、適当と認める」というもの。留意事項の原案は1点のみ「高知県学校・警察連絡制度の運用にあたり関係団体からさまざまな要望がなされていることを鑑み、関係法令、『高知県学校・警察連絡制度要綱』及び『高知県学校・警察連絡制度運用ガイドライン』の規定に基づき適正な運用を行い、当該規定および当答申に拡大解釈は厳に慎むこと。」
高教組・県教組は、ガイドライン等により個人情報の提供を認めることの問題点、認める場合の対応について要望書を今回の制度委員会に提出しました。委員からも意見が出され、留意事項1点のみではなく、●運用状況を検討委員会に報告すること ●要綱・ガイドラインは精査して作成する (※成文化は後日)項目が付け加わり、原案が修正され採決されました。結果、賛成多数(5対1:委員長は除く)で修正案が承認されました。採決で一致をみず、答申が条件が付けで文書で出されるのは、多分、制度委員会はじめてのことと思われます。
運用ガイドライン(案)に対し、様々な意見がだされ、成文化されないままの採決は、運用状況を検討委員会に報告すること義務づけたとしても、審議に対し検討委員会として実施者(県教委)に丸投げしたことになり、疑問が残ります。
子どもと教育を守る高知県連絡会、人権と民主主義・教育と自治を守る高知県共闘会議、県教組、高教組主催で、
6月26日(日)14:00~16:30 人権啓発センターで「シンポジウム 学校・警察連絡制度を考える」を開催します。入場無料。県教委・県警にパネリストを依頼しましたが、出席するとの返事をいただけませんでした。
「高知県学校・警察連絡制度」に関する諮問事項についての要望書
貴制度委員会におきましては、高知県教育委員会から諮問されている案件について、個人情報の保護及び学校教育・児童福祉に及ぼす影響などの観点から慎重に審議をされ、問題点を鋭く指摘されていることに深く敬意を表します。引き続き、以下の観点を考慮し、慎重にご審議いただき、諮問事項を認めない旨の答申を出されるよう要望いたします。
1.高知県個人情報保護条例第10条第1項第7号に関して、ガイドライン等により条件を付けて承認することに関する問題点
先の制度委員会では、県教委が運用に関するガイドライン等を提示しました。条例はその目的で「個人情報の取扱いに伴う個人の権利利益に対する侵害に防止を図り、もって基本的人権の擁護」を謳っています。高知県個人情報保護条例第10条第1項第7号は、個々の個人情報の内容を例外的に認めることを定めているものであって、ガイドライン等により条件を付けて認めることは、実施機関(県教委および学校)にその運用を一任することになり、制度委員会として責任を持てないことになり、その結果、条例の目的に反する事態が生じることが懸念されます。
(1)ガイドライン等の運用については、その内容が実現可能なものであるのか、学校現場の意見も聞きながら慎重に検討すべきです。
個人情報の保護に関しては、2011年5月24日の高知新聞(資料1)が報じたように、県教委事務局内部で奨学金返済データが紛失した事件が発生しています。1958年~2006年度の返済者の氏名・住所など最大1万158名分のデータが紛失したとされていますが、30年以上前のデータが電子化されていることや、すでに完済した者のデータまで保存している実態は、個人情報の管理のずさんさを示すものでもあります。同様の児童・生徒に関する個人情報の紛失などの事件はこれまで学校現場でも起こっており、今回の案件のように児童・生徒の将来に影響をおよぼしかねない「センシティブ情報」の漏洩を、ガイドライン等によって完全に防ぐことは困難と思われます。4月20日付で貴制度委員会に提出された、「学校と警察との情報連携に反対する弁護士有志(9名)」による要望書(第2回)においても、「『センシティブ情報』の漏洩という危険を冒してまで得られる利益がどこまであるのか、また、どの程度の利益を達成することができるのか、実施機関から具体的に示されているとは言い難いと思われます。」と述べられています。このことは、諮問されていない「警察から学校」への個人情報の提供に関しては、「学校から警察」への情報提供よりも深刻な問題です。
(2)警察に提供された情報については、警察はどのように個人情報を管理・保管するのか、またそれを担保する方法について明らかにすべきです。警察情報という性格上、長期間にわたり、保管される可能性が高く、小学校・中学校・高校の一時期の一過性的な問題行動記録が警察に長期間保管される悪影響は、はかりしれません。
(3)学校によって対応が異なることになれば、学校ひいては教育への信頼を崩すことになります。
2.諮問事項を検討するにあたって
学校・警察連絡制度は、子どものプライバシーの権利(自己情報コントロール権)を侵害するという意味で、憲法第13条(基本的人権の尊重)、および子どもの権利条約第16条(私生活等に対する不法な干渉からの保護)に違反するものです。また、それにとどまらず、教育の基本条件である教職員と児童・生徒の信頼関係を破壊するという意味で、子どもの権利条約が定める成長・発達の権利を阻害するものです(同第29条)。このことも踏まえ、慎重に検討されることを強く要望します。
3.ガイドライン等を承認した場合の対応について
以上、問題点等について指摘しましたが、ガイドライン等の条件を付けて承認する場合においては、以下の点を考慮するよう要望します。
(1)実施機関(県警・県教委・学校)は、当然、情報提供及び情報収集した事案について、その後の指導状況及び指導結果などについて検証を行うべきですが、検討委員会として、実施機関に任せるのではなく、個々の事案および管理の状況、目的を達成しているかなどについて詳細な報告を求めるべきです。その状況によっては、承認を取り消すことも検討すべきです。
(2)先の県教委事務局内部での小型記憶媒体の紛失にみられるよう、児童・生徒の将来に影響をおよぼしかねない「センシティブ情報」についてはその管理について、データをパソコン本体や電子媒体に保存してはならないこと、紙媒体についても複写してはならないことを明示すべきです。作成された文書は、作成日の属する年度末には、シュレッダーなどで破砕し、確実に廃棄すること、また、その確認を県教委が行うことを明示すべきです。
以上

