高知高教組日誌

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すべての高校生・青年に学び成長する権利を保障する高校・大学教育と高大接続を

 全日本教職員組合(全教)が7月19日付けで談話を発表しましたので、ご紹介します。

【談話】すべての高校生・青年に学び成長する権利を保障する高校・大学教育と高大接続を
 2017 年7 月19 日
 全日本教職員組合(全教)
 書記長 小畑 雅子
○ はじめに
 7 月13 日、文部科学省は「高大接続改革」(以下、「改革」)について、「高校生のための学びの基礎診断」(以下、「基礎診断」)及び「大学入学共通テスト」(以下、「共通テスト」)の実施方針を策定し、また、「平成33 年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」(以下、「予告」)を決定し、一括発表しました。それぞれの案が示され、これまでに全教をはじめ諸団体からパブリックコメント(「基礎診断」に対して191 件、「共通テスト」及び「予告」に対して570 件)が寄せられました。「高大接続改革プロジェクトチーム」(以下、「PT」)が公表した「パブリックコメントの結果について」には、全教の意見も記載されていますが、その回答である「文部科学省の考え方」を見る限り、指摘を真摯に受け止めているとは考えられません。
 今、あらためて高校・大学教育のおかれている現状をふまえ、すべての高校生・青年に学び成長する権利を保障する高校・大学教育とそれにもとづいた高大接続を実現するため、国民的な議論と合意形成をすすめる必要があります。全教は、今後も文科省要請や諸団体・国会議員との懇談など多様なとりくみをすすめます。
〇 大学入試を変えることが高校教育・大学教育の改革になるわけではない
 この「改革」を貫いているものは、義務教育段階については全国学力・学習状況調査(以下、全国一斉学力テスト)によって「改革の成果が上がって」、OECD「生徒の学習到達度調査(PISA)」で「国際的に高い水準となっている」が、高校は「『学力の3 要素』を踏まえた指導が十分浸透していないことが課題として指摘され」、その背景には「現状の大学入学者選抜では、知識の暗記・再生や暗記した解答パターンの適用の評価に偏りがち」等の状況があるという考え方です。大学入試制度の変更で高校の進路指導が影響を受ける面は否定できませんが、すべての高校生が大学進学するわけではなく、高校には独自の教育目標にもとづいた教育課程がつくられています。そこを考慮せず、大学入試のみが鍵であるかのような考え方は正しくありません。
 全国一斉学力テストの「成果」を拠り所にしている点から、国が義務教育から高校・大学教育まで、子どもたちを競争主義・成績主義にどっぷりと浸けようとしていることは明らかです。今でも高校・大学は偏差値によるランク付けがなされ、学校間格差が意図的につくられています。しかし、そうした中にあっても、目の前にいる高校生・大学生に対し、よりよい教育実践を積み重ねてきた教職員の努力が日本の教育を支えてきたといっても過言ではありません。それを台無しにする今回の「改革」は決して容認できるものではありません。
〇 「基礎学力不足」「学習意欲の低下」を生み出したものは競争主義・成績主義的な教育政策
 いま子どもたちは、自分のペースで学ぶ喜びを得るゆとりも与えられず、小中学校では全国一斉学力テスト体制、高校では進路中心の学習体制の中で知識の詰め込みが求められ、競争に駆り立てられています。今回の「高大接続システム改革」が根本的な課題解決には程遠く、むしろ、いっそうの競争と格差をつくり出すものであることは明らかです。
 「PT」が問題視している高校生の「基礎学力不足」「学習意欲の低下」については、何故そうなったのかの解明がありません。文科省が推進してきた、高校の入口段階からの多様化や教育課程の弾力化などの政策が、諸問題を引き起こした要因であることへの総括・反省を一切しないまま「改革」をすすめても傷口は広がる一方です。
 国連子どもの権利委員会は、「日本政府への総合所見」(2010 年6 月)で「大学への入学を求めて競争する子どもの人数が減少しているにもかかわらず過度の競争にかかわる苦情の声があがり続けている」との懸念を示しています。一般的に「大学全入の状況に近づいている」と言われているにもかかわらず、社会的評価や偏差値の高い国公立大学やいわゆる難関大学を目指す生徒やその保護者・教職員の間では依然として学力・受験競争がいっそう激化しています。さらに、教育委員会やマスコミ等によって、そうした大学への現役合格率が高校教育の評価指標とされ、大学入試は高校間の競争に利用されている実態もあります。
 こうした現状を見たとき、大学入試「改革」が「最終報告」の目的としている「高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定し、大学教育を受けるために必要な能力について把握すること」を逸脱し、新たな競争を持ち込むことになり、その上、民間事業者の参入拡大による受験産業主導の大学入試がすすむことにつながります。
〇 国がおこなうべきことはゆきとどいた教育をすすめるための教育条件整備
 いま国が第一におこなうべきは、高校生がこれから生きていく上で必要となる幅広い基礎的な教科・科目を中心とした学力を充実させることと、それを可能とする少人数学級の前進と教職員定数の改善など、教育条件の整備です。
 2012 年、日本政府は国際人権A 規約13 条b・c 項を撤回し、無償教育をすすめることを国際的に宣言しました。その流れを止めることなく、所得制限のない「高校無償化」の復活や大学生等への給付制奨学金の拡充など、すべての高校生・青年の学ぶ権利を保障する教育政策がもとめられています。
 国・文科省は、財界の望む人材育成のための拙速な「改革」ではなく、すべての子どもたちに対してゆきとどいた教育の実現を強く求めます。
                                                                          以 上
  1. 2017/07/26(水) 09:55:03|
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